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2010年3月15日月曜日

早川先生(6):新生児を救え!

上原:他にも問題はありますか?

早川:小児科の中で一番問題なのは、実は小児救急よりも新生児医療なんです。新生児科とは、普通より早く生まれたり小さく生まれた未熟児や、出生の時点でなにか問題を抱えてしまった赤ちゃんを診る科です。最近は高齢出産や体外受精などでハイリスク妊娠が増えているため新生児科医はとても必要なのですが、残念ながら日本の現状にはかなり問題があります。まず、新生児科医が全然足りない。新生児科専任の医師は平成13年の調査で716人しかおらず、これは目標とされる数字の半分くらいの人数です。あと、日本は周産期センター(※)がとても少ない。日本は歴史的に個人のお医者さんが開業してやっている産院がすごく多いのですが、それだとお医者さんの数が十分ではないからいざっていうときに危険が多い。もちろん、ほとんどの出産は安全に生まれてくるのでほとんどのお母さんはそのような事実を知らず、最近の産院選びは見た目のきれいさや食事のおいしさなどで選ばれているように思います。でもそれだと、いざって時には取り返しがつかないんです。

上原:では、産科で出産して、新生児の健康状態に大きな問題があったら、どうしているのでしょうか?

早川:「新生児搬送車」という救急車で新生児科のある病院まで運ぶんですよ。でも、生まれたばかりの未熟児が何十分も――時には1時間以上も――ガタガタ車に揺られながら運ばれるなんてよいわけないんです。新生児科の先生方も、本当は生まれてすぐその場で処置したいし、その方が救命率や赤ちゃんの予後がよくなることはわかっている。厚生労働省も「妊婦検診は近くの産科クリニックで、分娩は周産期センターで」という分業体制へ移行していく、という将来像を持っているのですが、残念ながらまだまだ道は遠い。だから、今はまだ救えるはずの新生児がまだまだ救えていないんです

※周産期センターとは
「周産期」とは出産の前後の時期。つまり、産科と新生児科両方の医療が必要になる時期。周産期センターとは、その両方に対応した医療施設のことを言い、産科医と新生児科医の両方が協同して安全な出産を行う。

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