上原:先生は現在精神科と小児科を担当されていますが、これらの科を専門に選ばれた理由をお聞かせいただけますか?
早川:医学部の学生生活が充実していたので、卒後の進路は6年生の夏休みまであまり考えていなかったんです。でも、そうも言ってられないので、6年の夏に3つの科に見学に行きました。北里東洋医学研究所の東洋医学、虎ノ門病院の小児科、そして、聖路加病院の救急医療科でした。最初にやりたいと感じたのは東洋医学の漢方でした。もともととても興味があって、現在も、精神科、特に小児精神の分野で漢方をうまく使いたいと考えています。でも、やはり、まずは西洋医学の科で経験を積んでおこうと思いましたね。
上原:救急医療は?
先生:やはり現場に立ってみると、自分が何に興味があって、何をしたいのかが、はっきりわかってきますね。正直、見学に行った時、救急は自分には合っていないと感じたんです。救急医療ができないと困るけれど、自分に適性があまりないなと。
上原:ですが、先生は今も小児科の救急医療をされていますよね?
早川:現在私が担当しているのは、急患の中でも1~2次の患者さんだけです。救急医療の程度には、1次から3次まであって、1次は軽症の風邪など、2次は入院が必要な程度、3次は生命の危機に瀕している患者さんに対するもので、私が適正がないと感じたのは成人の3次救急なんです。それと、小児救急は身体のケアもさることながら、心のケアの部分がとても大きいので、今も関心を持って取り組んでいます。
上原:最終的に、小児精神科を目指されることになったのは…
早川:研修医時代にいくつかの科をまわってみて、自分はどの科にいたら一番力を発揮できるか、自分の適性が一番生きるのはどこかと考えました。自分は外科や救急では、多分あんまり役に立たない(笑)。一番役に立つと思ったのが、「患者さんと関係性を作っていくこと」でした。それが、自分を一番活かせるかなと思ったわけです。出発点はそこなんです。
大森:確かに、精神科は患者さんと医師の関係性がとても重要ですよね。その中でも、特に小児精神科に興味を持たれた理由は?
早川:もともと「人間」には興味があった。そして、その人間ができあがってくる過程だから、児童の精神にはすごく興味があったわけです。人間への興味のプリミティブな部分に、「人間がどうできていくのか」というものがまずあって。それから、実際小児科にいた時、大声を出す子や不安でいっぱいな子とか、いろんなこどもたちが入院してきたんですけど、たいていのこどもたちとすぐ仲良くなれちゃうんです。そう言えば、こどもに嫌われたことってたぶん一度もないな。自分がこどもっぽいせいかな(苦笑)。でもそれならば、こころに傷を持ったこどもたちとも関係を作れるんじゃないかなと思ったんです。ここなら、うまくいくんじゃないかと感じました。
大森:きっと、早川先生は今のこどもたちの「心のありよう」を共感や理解されているのですね。患者からすれば、自分の痛みを共有してもらえる医師のほうが安心できます。
早川:自分を活かしたい、より活用したい、というキリスト教の使命感的な考えが、僕の中にはやっぱりあるんです。多分、立教の影響だと思いますが(笑)。
上原:先生が、小児科、児童精神科という枠に限らず、広くこどもたちの医療について考えていらっしゃることが、とても強く伝わってきました。次回からは、そこに焦点を当てて、お話を伺っていきたいと思います。
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