上原:本日は、本当にどうもありがとうございました。
早川:いえいえ、僕もこういう機会に、医療とは別の世界の人々と話をするのはとても楽しいし、興味深いです。私にとっても刺激になります。病院に閉じこもるのはよくないですしね。
上原:正直、現役の医師の方が、どこまでお話してくださるか不安だったのですが……。
早川:僕の本『医者になるとは――医学を学ぶ一人として』の中で、東大の佐藤学先生が、言われていたことなのですが、「現場から立ち上がっていくしかない」と思っています。今の医療の世界では、現場から離れているような偉い人たちがルールを作っているんです。でも、昔の常識や理念で対策を立てても、全然システムとして機能しません。現場をよく知っているのは、上層部ではなくて、中堅かその下ぐらいの人たちです。だから患者さんたちには、現場を批判するのではなくて、現場をもっと応援してほしい。それが、よい医療を目指すうえでの患者さんの責任だと思います。
大森:テレビで救急病院の特番などが放映されることがありますが、医療の現場を人々に知ってもらうためには、マスメディアだけではなく、内部の人々から直接発信される声の方が大切なのではないでしょうか。
早川:そうですね。テレビでやっているドキュメンタリーなどは、私から言わせれば「視聴者にとって心地よく、そして簡単に作っているな」と感じてしまいます。テレビを作っている人々の立場にしてみれば、視聴率の問題がありますから、一般向けにわかりやすく感動的に作らないといけないのはわかります。でもそれはあくまで外からの視点なんですね。実際の医療現場では、もっと困難な問題や、信じられないような問題がたくさん起こっています。内側には、もっとわかってほしいことがいっぱいあるんですね。
もちろん、プライバシーや守秘義務の問題でお話できないこともあるけれど、そうではない問題もたくさんあります。そして、そういったことが知らされないまま、医療がヘンな方向に進んでしまったのが、戦後の60年だったんだと思います。やはり、積極的に内側から発信していかないといけないですね。
上原:でも、残念ながら医療の世界に身を置く人々は、なかなか自分から発信したがらないという気がします。だから、早川先生にお会いできて、本当に良かったです。
早川:確かに、医師自身はなかなか発信しません。だから、一般の人々に医療現場の情報が伝わらず、医療の世界も変わらないのです。医者に秘守義務はつきものです。その影響もあってか、医師たちは口をつぐむ。そうやって今日まで来てしまったのではないでしょうか。だから私は、今後もできるだけ、外に向けて発信していきたいと考えています。(了)
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