心の病は、社会の病。

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2010年3月15日月曜日

■早川先生(11):新しい医療のかたちを考える

上原:さて、先生が医師を目指されるようになったきっかけが、当時京都大学医学部・総合診療部の山本先生との出会いであったとお聞きしましたが、「総合診療」について、もう少し詳しくお話をうかがいたいのですが。

早川:僕が取材に行ったころ総合診療部はまだできたばかりで、病棟は4床ぐらいしかありませんでした。どんな患者さんを診ているんだろうと思ったら、当時は「科と科の間にいるような患者」「社会的に困難で医者が見たがらないような患者」ばかりでした。癌の末期の患者や合併症のたくさんある患者、家族に問題がある患者とか。でも、本来「総合診療」とはそういうものではなくて崇高な理念があるんですが、当時は尻拭い的になってしまっていました。

上原:本来の理念について、教えてください。

早川:近年になって、総合医療、地域医療、家庭医療と、似たような概念がいくつか出てきました。まず総合診療ですが、総合病院の過度に専門分化が進んだ外来の弊害を解消するために生まれたもので、「初診の患者を診て適切な科に振り分け、高度な専門性が要求されない患者に関してはその後もフォローすること」が期待されます。これまでは、受診した患者さんがどの科を受診するかを決めるのは、本人もしくは受付の人だったりしました。多くの場合は適切な科を受けていますが、中には間違っている場合もあります。また、最近では病気が複数の科に及ぶ人はざらにいます。そのために複数の科にかからなければいけないのは、患者さんにとって大変な手間です。そこで総合診療部は、病気の程度が軽いものであれば自分たちが総合的に診るわけです。その上で、専門医療が必要だったら、協力、あるいは紹介するのです。

上原:地域医療というのは?

早川:簡単に言うと、総合病院で行われる「総合診療」が、地域で行われると「地域医療」、家庭で行われると「家庭医療」となります。ただし、総合診療は専門科との連携、地域医療・家庭医療は予防医学的なものが、それぞれより必要になるでしょう。また、地域医療の中でも僻地(へきち)医療の場合は、重病の患者を搬送する場合、救急隊が来るまでの間の応急処置が求められるでしょう。などなど、両者は若干違いますが、基本的にはほとんど同じ概念です。

上原:時代とともに、必要とされている医療のかたちも変化していると思います。先生がお話くださった、対話に基づく医療、人の物語を大切にする医療である、「ナラディブ・ベイスド・メディスン」も、「総合診療」も、その一つですね。

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