A先生は、こんな体験もお話くださいました。とある、余命いくばくもない患者さんがいました。ご本人は自分の病状について、真実を知らされていませんでした。ご家族から、告知はしないでほしい、という要望があったからです。しかし、患者さんは、日に日に弱ってゆきます。ある日の晩、当直で残っていたA先生は、その患者さんに呼び出されました。二人は暗い廊下のイスに座り、病状について話しました。「先生、本当のところ、もうダメなんじゃないですか?」。そう聞かれてA先生は、「希望を失ってはダメです」と、ある意味、嘘を話したそうです。
患者の命をあずかっている医師である限り、A先生のような体験はみなさん何度か経験されているものと思われます。患者は命がかかっていますから、それこそ全身全霊を込めて、医師に問いかけてきます。これに対応するには、強い精神力が必要なことは確かです。いったい何を支えに、A先生は患者さんと向き合っているのでしょうか(次回に続く)。
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